長煙遠く棚引きて
入相の鐘暮れてゆく
墨田の流れ夕潮に
オールを軽く浮ばせて
秋西風に嘯きし
その豪快のあとかたや
あゝ一ツ橋空高き
母校の春の朝ぼらけ
銀杏の梢青葉して
若き光の冴える時
梧桐の影に語らひし
その歓楽のあとかたや
瘴煙こむる南洋に
暁天の星さゆる時
寒嵐むせぶ西比利亜の
荒涼の月仰ぐとき
思ひを馳せて一ツ橋
母黌の姿君見ずや
狂瀾山と湧くところ
清き理想の海原に
希望の星を涵すべく
さらば我友諸共に
蛟龍の意気胸にして
いざ雄飛せむ五大洲
中田庄三郎作詞